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心弦 二胡 第9回定期演奏会「懐念」

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ウェイウェイ・ウー先生を,1.8mほどしか離れていない距離で,しかも最前面で聴いた.なんと,彼女が弾いている二胡の松脂が削れ,空気中に漂うのが見られたほど近いのだ.「全席自由」という大胆な話なので,最前列のど真ん中で聴けた私は幸せである.


この人は本当に感情移入というか,所謂‘トリップ’するのが上手いと思う.まだ2回しかライヴを鑑賞していないが,彼女が哀しい気持ちを表現する時には,本当に目をうるうるさせながら弾く.勿論こちらの目頭もつい熱くなるのだ.

人に共感できる,人と同じ気持ちに成れる,人と同一のリズムを刻む.素晴らしいことではないか.


上野にて,たまたま見つけた「中国常菜 胡同101(うろ覚え)」という飯店にて,昼飯をとる.
最近,中国訛りの日本語で途切れ途切れの単語が聞こえてくると,どうしても入らないと気が済まなくなってきた.今回もその一環だ.
ふと迷い込んだ裏路地で,そういった「ランチ」「天津丼」「600円」という声が聞こえてきたので,ふらっと立ち寄る.
人によっては嫌いかもしれないが,私は中国語の喧噪が好きである.中国語を勉強したことがないので,意味は勿論分からない.日本語にはない発音に囲まれていると,私は,不安なくせして落ち着くような錯覚を受けるから困ったものだ.
みんな中国人らしい.厨房で炒めた山盛りの点心とかサラダを,客席の側から割り箸で皿に
よそうという豪快さに,隣のリーマンは沈黙して居られるが,私は微笑みながらそれを見守る.
天津飯の味は美味.具材はタケノコ,椎茸等と,普通であったが,上にかける‘あん’が独特だった.オイスターソース(?)が入っていて焦げ茶色をしているのだが,それだけではない味がした.600円の幸せ.


いかん.生活が濃いと話が逸れてしまう.演奏会の話であった.
私にとって人生で最初の「心弦」との初公式コンタクトは,「大田区民プラザ大ホール」という,いかにも大きそうな(!)名前の会場で催された.
しかし駅からほど近いところにあるそのホールは,私の実家にあった「市民会館」と殆ど変わらないくらいの大きさだった.天上からマイクがぶら下がって居たり,中に喫茶店があるところ等は流石東京と言いたいが,客席数とかはさほど多くなかった.

入場料は「無料」.演奏会だから当たり前と言えば当たり前なのだが,124人による二胡四重奏,坂下正夫氏による『Dream Express』ソロ,検定クラスの『雪蓮』,ウェイウェイ・ウーの特別演奏(!)等,嗚呼もう,並べられないくらいの4時間もの演奏会がなんと「無料」.

心弦に入門したくなるほど密度の濃い4時間で,大変素晴らしかった.

帰り際,私の師である坂本先生が,娘を連れたアメリカ人の男性に挨拶しているので,知り合いかと思っていたら,なんとウェイウェイ・ウー先生のご主人だった.今から娘をピアノのレッスンに連れて行くとのこと.なるほどね.


帰り際の電車で「うっとり」というような表情を浮かべていると,斜め前の女子高生がくすくす笑っているのが聞こえたが,全く恥ずかしくなかった.自分でも分からないくらいうっとりしてるのだもの.