超高額タンザナイト
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元ネタはpya!.
楽天で4億円のタンザナイト(264.59カラット)が売られていた.
タンザナイトを鉱物的に見てみると,
鉱物名:ゾイサイト
日本名:灰簾石
化学式:
比重:3.2〜3.4
硬度:6〜7
- 青・藍・赤の多色性を示す.
- 相場は10カラット(2グラム)30万円くらい.
(参考:宝石・鉱物おもしろガイド 辰尾良二 築地書館 )
上から覗き込むと青・藍・赤の多色性が見られるというのは,この石の魅力をとても引き出しているように思う.しかしどうやらヨーロッパでは多色性を持つタンザナイトが好まれないようである.出品されているタンザナイトも凄く濃い青をしているようだ.
それにしても硬度6〜7というのは指輪等の装飾品にするには若干ためらわれるほど低くないだろうか.硬度6〜7と言えば,たとえば超音波洗浄したり鉄製のテーブルにぶつけたり,それどころかガラス(石英ガラス)でこすってしまっても傷つくくらいの軟らかさなのである.4億円の宝石がそんなに軟らかいとやりきれないよね.
普段,テレビショッピング等でしか「カラット(Carat)」と接する機会のない私のような一般市民は,「264.59カラットの宝石」というととても大きそうな印象を受けるが,実はそんなに凄くなかったりする.
1カラット(1cts)は0.2グラムのことであり,つまり「264.59カラットの宝石」とは即ち「約53グラムの宝石」を指す.なんと!53グラム!
53グラムと言えば,この前帰筑した際東京電力に電気を止められ,冷蔵庫の物品が全部腐っていたことに激怒した私が,窓から道路に向かって投げつけた卵一つ分の重さより軽いではないか.
なんだ卵か.笑い.
冷静になって考えてみると,このタンザナイト,在庫は一つしかないと考えられる.
少なくとも,「264.59カラットの」タンザナイトは一つしかないだろう.
普通,宝石を作る際には母岩研磨の段階で研磨師が,最も美しくかつ最もカラットを落とさずに済む最良の研磨点というのを探して削るわけである.工場で大量生産が出来る業界でもないのだから,同じカラットの高級宝石が2つと存在しているとは少し考えにくい.
ましてや最近産出量が減少しているタンザナイト*1なのだから,全く同じ重さの宝石が取れる母岩が2つも産出する可能性は皆無に等しいのではなかろうか.
楽天には「在庫 1」等の特記は少しも見あたらない.
それどころか,
当店の掲載商品は雑誌・TVCM等でも販売を行っているため、ご注文のタイミングによっては、商品が在庫切れとなる場合が稀にございます。
とある.
そんなに売れないって.
本当のお金持ちにとっては4億円くらいなんともないのだろうなぁ.
id:softetherさんは「1050万円のイス(Amazon.co.jp)」を紹介しているが,先のタンザナイトを見たときの衝撃は,このイスに負けないくらいのものがある.
http://d.hatena.ne.jp/softether/20050924#p1
*1:産出調整しているという噂もある.