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ウォークマンよりもiPodが売れた,ただ一つの理由

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※ここで言うウォークマンとは,ネットワークウォークマン(これもう死語なのかな…)以降のソニー製ウォークマンのことを指します

ウォークマンとiPodの違いは沢山ある

  • 再生出来るファイル形式の違い(ATRAC3かMP3か)
  • 容量あたりの値段の違い(どっちがコストパフォーマンスが良いのか)
  • 取り込みソフトの違い(SonicStageiTunesか)
  • ノイズキャンセリング機能がついているか否か(最近のウォークマンにはこんな機能もあるんですね)
  • マニュアルがついているか否か(iPodは基本的にネットでマニュアル見てねっていう方針──というか直感的でマニュアル要らない)

etc.

が,こんなことは揚げ足取りも甚だしい.
そりゃ「音楽を聴く」という主目的の機器ではあるが,メーカーの違う二機種を取り上げて機能差を挙げていてもキリがなく,VHSとBetaを論じているのと同じである.

ウォークマンとiPodの決定的な違いは何か

圧倒的に強いといわれてきたiPod。シェアは相変わらず市場の5割を占め、圧倒的に強い状況
日系BP - ITマネジメント

私は,iPodがここまで広くシェアを伸ばしたのは,「見せ方」の違いが大きく影響したと考える.
iPodとウォークマンの決定的な違い.それはCMだ.

iPodが成功したのはCMの力によるところが大きい

iPodのCMといえば

こういうのが思い浮かべられるが,初めてiPodのCMを見た時,高校生だったぼくは大変な衝撃を受けた.

だってほら,なんなの.あの垂れ下がったイヤフォンケーブル.
だらりとだらしなくぶら下がったケーブルを見て,ぼくは大変な違和感を覚えた.


iPodのCMを見て違和感を感じたのは,高校生当時,NW-MS90Dというウォークマンを使っていた所為もあるだろう.NW-MS90Dはよく考えられたポータブルプレイヤーだった.

このウォークマンは,イヤフォンケーブルがネックストラップの役割を果たしていた.本体とイヤフォンケーブルが固定されていて,ウォークマンの自重をイヤフォンケーブルで支える仕組みになっている.首からイヤフォンケーブル一本でぶら下がっているというなんとも一見不安定な仕組み.

不安定だけど,大変スタイリッシュである.こういう製品は,日本人みたいな散りゆくモノの美学を大切にする部族にはバカウケでしょう.Sonyはもっとこういった挑戦的な商品を作ってもいい.儚いモノはエライ.
iPodのほうはというと,ぼくはいつも,iPhoneを首にかけて使っているんだけども,それだとどうしてもネックストラップとイヤフォンケーブルが,2本,首からぶら下がることになってしまい,あまりスタイリッシュではない.


で,大事なのはここからで,こんな素敵な商品を開発していたSonyがシェアをAppleに奪われたのは,iPodのCMに依るところが大きいと考える.

一昔前までは避雷帽避雷傘みたいに,「だらりとぶら下がる文化」をよしとしていた時代が,全世界的にあったと思う.着流しとか,舞妓さんのだらり帯などはその最たるものではないか.だけどそれから時は流れ,日本では,だらりと垂れ下がったものをみっともない!とする文化が育っていった.
ぼくなどはめんどくさくてTシャツを半ズボンの上に出していると,「みっともない!」と言われ,華麗にTシャツをパンツインしたものである.
このような文化の中,女性が音楽を聴くのは大変なことではなかったのか.
年頃の女子がかばんにウォークマンを入れ,そこからイヤフォンを取り出して耳に突っ込み街を闊歩などしていると,「ヒモ垂らしてどこいくの.(お弁当つけてどこいくの.風に)」と言われたことだろう.


WM-MS90Dに代表されるようなウォークマンは,Sonyが音楽を聴くという文化を日本に根付かせる為に編み出した苦肉の策であったが,iPodのCMは「だらりの美学」を打ち出し,これが日本人に受け入れられた.日本人の職人気質なものづくりの文化が生み出した製品を,アメリカナイズされたiPodのプロモーションが黒船のごとく駆逐した.

最近は,また新たに始めた就職活動などで東京の電車に乗ることが多いのですが,びょろーんと伸びた白いイヤフォンケーブルを垂らした女子などを見ると,女子力とか言ってる場合じゃないぞとか思ったりする.
ぼくもネックストラップ派である以上避けては通れないのですけども,女子力アップしてもバツグンに発毛力が上がるわけでもないし別にいいかなーと思っている.


※この議論は,PSPがDSに惨敗したのは何故か──に通じるところもあるがそれはまた別の話.